結果発表から当日まで


"一般が最後"って概念に囚われすぎてリセールの存在に気づいてすらいなかった私にとって実質最後の望みだった一般抽選販売結果発表の8月1日

15時からの休憩で電波の悪い店内から外に出て、さすがに結果きてるよなあと思いながらメールを開いたら飛び込んできたのは"チケットがご用意できました""ELLEGARDEN"の文字列

しかも新木場だって気付くのにさらに時間がかかって、わかった途端腹の底から猛烈に何かがこみ上げた

冗談じゃなく手が、身体が震えた

衝撃で街中で叫び出しそうだった

なんにもまともに考えられなかったけどただひとつ

ああ 私はわがままで好きなことをただ追いかけるしか能がなくて 諦めの悪いみっともなく足掻く阿呆だけど

お前のその好きなことを信じ抜く生き方は間違ってなかったよって

他の人が見れば無機質な自動送信のメールかもしれないけど

このたった1通のメールで自分の今までの人生のぜんぶが許されたような気がした

ただチケットの申し込みしただけだけど

諦めなかったのは、無駄じゃなかったんだなって

ただ思った


とにかくこれ忘れたりしたら死ぬまで後悔する!支払い!発券!と思って目の前のファミマに飛び込んだけどカード決済だしさらに発券の必要のないスマチケである 即Uターン

結局その日の昼ごはんはサイゼのミラノ風ドリアだったけど何回もえづいて戻しそうになった

だって、こんなの、胃がおかしくもなるよ


そこからは

ライブの当日まで毎日

起きてる間は誇張なしに本当にエルレの事とチケット確保できてない周りの人達のことばっかり考えてた

品出ししながら曲がずっと頭の中でぐるぐる回ってた

"ヤバい""マジか"はずっとあったけど

正直に言って"嬉しい"はライブが終わった今に至るまでない

だって誰よりも入って欲しい人が取れてない

私が行きたくて行きたくて半狂乱になっていたライブのチケットを探すのを手伝ってくれた人達が取れてない

活動休止期間中もずっとそれぞれのメンバーが所属するバンドのライブに行き続けていた友達、みんな、

元々好みの近い人との付き合いが多いからZOZOマリンを当てた人は結構いたけど新木場を当てた人は私以外は2人しかいなかった

それでも周りの友達は

みんなほんとに行きたくて行きたくて、ずっと待ってて、なのにチケット外れて苦しんで、それでもおめでとうって言ってくれたのは、そこだけは本当に嬉しかった

嘘やお世辞じゃないと思えた

私が1次や2次で当たった友達におめでとうって言えたのはどうせ自分が行けないならせめて知ってる人に行って欲しいと思ってたから

その人が本当に行きたくて申し込んだって知ってたから

そこに嘘はなかった

でも妬ましさの方が勝つから当たった人見ておめでとうなんて言えないって呟いてる友達のことも、ものすごくよくわかった

だって、私だって、1次も2次も申し込んで外れた時、知らない人やたいして仲良くない人の当たったって呟きが流れてきて、

その人のこと何も知らないけど

お前なんかよりこっちの方が全力で観たい、自分の方がエルレ観たいと思ってる命賭けるんじゃないかってくらい死に物狂いでチケット欲してる人たちがいるんだよ、こっちによこせよって無茶苦茶な憎悪でいっぱいだったから


少しでも確実に当たらないかなって思いでチケット1枚で申し込んで、

いざ当たって、

そういう人達が周りに溢れ返ってる中で、


行くのか。新木場に。みんなを差し置いて。ひとりで。


周りのみんなは結果音漏れになろうが絶対に会場まで来るし、絶対に最後まで諦めないって信じてた、そしてその通りだったし、信じてるけど、あまりにも取れてない人が多すぎて、そう思わずにはいられなかった。


好きなバンドは?って聞いた時に開口一番にエルレが好きだ特別だってほんとに大事そうに話すいろんな人の姿をたくさん見てきて、

震災直後の骸骨祭りでそれぞれのバンド4つ全部集まって、ないだろって言いながらもエルレのTシャツ着て行って、やっぱりと言うか当然と言うか、エルレの曲は演奏されなくて"夢はまだ先だな"って言う、うまく言葉にできない姿もはっきり覚えてて、

復活の噂流れるたびにいい加減なこと言ってる連中をシカトしながらも苛立って、

MONOEYESの初音源聴いてエルレとやってること一緒じゃん、エルレやれよって簡単に言う人たちに辟易して、

エルレ見るまでは死ねない、復活したら何があっても、仕事辞めてでも、どこだろうと、(転売屋から買う以外は)どんな手使ってでも行くって言ってた人たちですら、チケット取れてないのに。


そういうの全部見て、聞いて、憶えてるのに、行くのか、自分だけ。


譲れるもんなら、譲りたかった。

18の時に出会って、ずっと面倒見てきてくれた、私が一番ELLEGARDENを見て欲しい人に。新木場っていう特別な場所で見てほしい人に。恋人でもなければ血の繋がった家族でもなんでもないけど、友達とか仲間とか大事とか、そんな言葉じゃ言い表せないけど、とにかく1番見て欲しい、私の知ってる中じゃ誰の追随も許さないくらい彼らをずっと待ってた人に行って欲しかった。

けど、1枚しかない。当日はIDチェックもある。一緒に行って、頼むからこの人入れてくださいって言おうか本気で考えた。


でも、

いざ実際にそんな状況になった時、本当にそんなこと潔くできる?


私だって、

敵わないかもしれないけど

the HIATUSが活動しまくってる中

エルレまだかまだかってうるさい人たち見て

今動いてるのはハイエイタスなんだよって思って、そういう人たちと一緒に見られるのが不愉快で、エルレも聴く、好きだっていうのが嫌になるくらいエルレにこだわってた

初めて行ったロッキンのDJブースでPizza Manが聞こえてきて飛び込んで、知らない人と顔を合わせて叫んだのが忘れられなかった

ハイスタが予告なしでCD出した時に泣いている人や喜ぶ人の姿を見て

自分にとってのこういう瞬間はエルレが復活する時かなあなんて思わずにはいられなかった

エルレ復活のニュースを運んできた人がおちゃらけながらライブ見たいね~って話してくるから大して関心ないなら黙ってろって理不尽にキレるくらいには思い入れがあった

先行が始まってもいないのに行くつもりしかなくて、なおさら体力つけなきゃと思ってフジロックに向けてゆるゆるやってたランニングに本気で取り組むようになった

チケットが外れて、世の中全部クソくらいの勢いでいろんなものに当り散らした

職場でエルレについて話題振られるだけでとんでもない顔つきしてるのが自分でもわかった

お前には行ってほしい、行けるといいねって言ってもらえるのが、すごく嬉しかった


復活が発表された翌日から毎日ハイエイタスかモノアイズのTシャツ着て仕事行って、

1次は新木場1本で申し込んで、地元の神社に当たりますようにってお参り行って、

2次は細美武士にゆかりのある場所に行って、そこでスマホいじってチケット申し込みして、

最後の一般は信念とか全部捨てて、とにかく行きたい、行ければなんでもいいって気持ちで第3希望までしっかりエントリーして、結果当たった、正々堂々掴み取ったそのチケット、


それを譲るなんて、本当にできる?

絶対に後悔しないって言える?


そんなの改めて自問自答しなくたって、わかってた。

私だって、行きたかった。


考えたってどうしようもないし、親しい友達はとにかく自分のために楽しんでこいってみんな言ってくれたけど、ずっとこんなことばかり考えてた。